ギター、はじめての購入ガイド その3
通常、アコギと呼ばれるものの中にも大きく分けてガット・ギター(以下ガット) とフォーク・ギター(以下フォーク) というものがあります。
はいわゆる、ナイロン弦と呼ばれる比較的柔らかい弦を張られることを目的としたギターです。そもそもは、ガット(豚の腸) を弦に利用していたことからそのように呼ばれるようになりました。さすがにナイロン・ギターとは呼ばれませんね。ネックは幅広く基本的に金属材料はほとんど使われていません。ギター発祥時のままの形に由来することもあるのでクラシック・ギターという俗称でくくられることもあります。ギター発祥の地はスペインといわれています。その関係からか、スペイン発祥のフラメンコとクラシックにおける音楽表現は深い結びつきがあります。フラメンコやクラシック、また植民地時代の流れでブラジルに渡り発展したボサ・ノヴァはこのガットで演奏されることが圧倒的に多いです。
フォークは、ガットが発展したもので、金属製の弦が張れるように最適化されたギターのことです。もっとも一般に見られる「アコギ」といえるのではないでしょうか。より太い質感の金属製の弦は、より低い音とより大きな音を目的として開発されました。カントリーやウェスタン、ブルー・グラスと呼ばれるジャンルを草分けとしてブルース、ロック、フォーク……と幅広く使われるようになりました。現在、よく見られる形はドイツに端を発す米Martin社(以下マーティン) より発売されたドレッドノート(軍艦)と呼ばれるタイプが主流です。 この後、さらに大音量化が必要とされるようになりボディーを単純に大きくしたものや、金属をボディー材に採用したものなどが登場します。しかし、それらにもやがて限界がくることは想像に難くないですね。そこで、電気的に音量を増幅する技術が開発されました。
アコギは本来生音で演奏する楽器ですが、アンプリファイアー(以下アンプ) の活用によるボリュームの増幅を目的に電気パーツをとりつけました。これがピックアップ(以下PU) と呼ばれるものです。PUを使って音を信号に変え、アンプで信号を増幅し大きな音に変えます。PUが搭載されているアコギをエレクトリック・アコースティック・ギター(以下エレアコ) と呼びます。将来、ライヴハウス出演などを目的としているのなら、エレアコをオススメします。ヤマハ、タカミネ、アイバニーズなど国産の低価格楽器は、割と作りもしっかりしていて素晴らしいです。
一口にPUといってもさまざまな方式があります。現在では、電磁石方式で弦振動をアンプに伝える方式が主流として採用されていますが、この他にアコギ向けに開発されているものが圧電素子を利用しブリッジ下に組み込んだピエゾPUや、そのくせを抑えて局所的にサウンドを拾い上げるために開発されたコンタクトPU、圧電素子も電磁石方式も用いず、実際にマイクで中の音を拾うエアマイクなどがあります。さらにハマったら、いろいろ調べて見るのもおもしろいですよー♪
そんな流れからか、もともとはジャズやブルースなどで大音量のドラムやサックスに負けないようにと開発されたものがPUでした。米Gibson社(以下ギブソン) はPUを搭載したフル・アコースティック・ギター(以下フルアコ) を開発したのでした。これらは、ハワイアンにおけるラップ・スティール・ギターにヒントを得て、アンプとセットで製作されたようです。この記念すべきギターを一躍シーンに広めたのがチャーリー・クリスチャンというジャズ・ギタリストでした。
余談ですが、彼はさらに偉業を成し遂げました。それは、ギターがサックスのようにメロディーやアドリブをとるというものでした。当時、ジャズ……それもビッグバンドによるアレンジされた演奏が流行の中心でした。そして、ビ・バップと呼ばれる音楽の黎明期でもありました。ビ・バップこそが、小編成のバンドにより演奏され、それぞれの楽器のアドリブ・ソロがクローズ・アップされるインスト音楽だったのですが当初、音量の小さなギターはビッグ・バンドでの役割と変わりなく4つ刻み、すなわちバッキングをするというものでした。ところが、音量があがったことによりチャーリー・クリスチャンはソロを弾いたのです。ビ・バップはこの後、流行の中心となっていきます。彼は惜しくも、1942年に他界したのですが、その後もL-5、Super 400 といった名器と呼ばれるギターが多数登場、数多くのギタリストがジャズのフィールドでギターを演奏しました。
そんな最中、1950年代に入ってさらに画期的ギターが商品化されました。1950年に米Fender社(以下フェンダー) から満を持して発表されたエスクワイア/ブロードキャスターでした。このギターは、フルアコと違って空洞を持たず、厚み10cm程度の板にピックアップをインストールしたものでした。ハウリングに強く壊れても簡単に修理できるというキャッチの元の登場です。紆余曲折があり、その後テレキャスターと改名されたこのモデル。当初は“板切れ”などとバカにされたものの、その後ブルースマン達により使用されるようになると爆発的人気を得ました。最大の特徴は、ネックをボルトでボディーに接合するボルト・オン・ジョイントです。しかも、アコギのように指板をネック材に貼り合わせたりせず1本のメイプルで作成しました。これにより、大量生産を可能にしたのです。1951年には、同様のコンセプトによるコントラバスと同じ音域を持つエレキを開発。プレジション・ベースと呼ばれる世界最初のエレクトリック・ベース(以下エレベ) となったのです。
焦りを感じたギブソンが、1952年に投入したのがギターリストのレス・ポールとともに開発したレス・ポール・モデル(以下レス・ポール) でした。マンドリン製作からスタートしたギブソンならではのアーチド・トップのこのソリッド・ギターはストラトに対抗するために作られたモデルでした。
しかし、フェンダーは快進撃を続けます。1954年にストラトキャスターを発表。これら3つのモデルは未だエレキの基盤とされています。年代のギターはヴィンテージとしての価値を持ち、買い求める方も多いです。また、逆に憧れる人も多いので廉価のコピー・モデルも大量に製作されています。
その後も、ギブソンからは変形ギターの走りとされるエクスプローラーやフライングV、フェンダーからはさらに画期的なソリッド・ギターが多数製作されてきました。今では、数え切れないくらいのギターメーカーが存在しています。各メーカーとも凌ぎを削っていて、例えばソリッド・ギターにピエゾPUを組み込んだものだったり、工業デザイナーが設計したヘッドのない斬新な機構の小型ソリッド・ギターだったり、それまでは考えられなかった木材以外の素材を用いたアコギだったりと本当に多種多様化しています。短い歴史の中でテクノロジーの進化とともに成長してきたエレキには深い魅力がたっぷりです。ここから先は、あなた自身の目で探してみてください。ハマるときっと楽しいですよ♪ それでは。
■ギター、はじめての購入ガイド
■ギター、はじめての購入ガイド その2
ラベル: ギターはじめるならここからはじめなきゃっ


2 件のコメント:
お久しぶりです。日日常に爆発炎上中の水引細工師水心であります。「ギター、はじめての購入ガイド」とても興味深く楽しませていただきました。実感を伴う経験に裏打ちされた理論によって世に流布されている定説と一味違う購入ガイドを説いていてかっこいいですね。
弦に似た物を、同じく指先で操るのですが、自分は美しい形を作り、ギタリストは美しい音色を作る。どこか通じていてどこかが違う。水引の世界にはまだ本来の意味での初心者ガイドは無いのですが、何か刺激を受けたのでいつか初心者ガイドを作ってみようと思ったところです。
道具といっても気持ちを込めて扱うものなら指先の続きであり、体や心の一部になるものだとおもうのです。やはり愛情を持って付き合える道具が一番ですね。次にあうときはフラクチャー弾いてくださいねよろしく。
書き込みありがとうです。こういう記述が、初心者の目に通るかどうかは別として、「ストラト、テレキャス、レスポールが基本のギター」っていうテスト前の暗記みたいな覚え方や「広告に載ってるし、このセットのギターが安くていいかも!」っていうお手軽な感じはやめて欲しいなって思うんです。
それなりの覚悟でもって買って欲しいなって。「これ買ったら、来月から1年間くらいジャンプは買えないけど……我慢……」くらいの覚悟でやらないと。それが1万円の初心者セットならいいと思いますよ。
なにせ、相当の努力がないと弾きこなせない……少し御幣があるかもしれないがピアノなんかより断然難しい楽器です。“和音”の重要性が理解し辛いし、“和声”の勉強は1人じゃ出来ないし。
もっと誰にでも手軽に弾いて欲しいとも思うし、もっと広くたくさんの人に持って欲しい、普及できれば……と思っていますが、正直なところポンッと買ってスパッと諦めるなんて現状がイヤなんですね。
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